『美女と野獣 “魔法のものがたり”』は東京ディズニーランドのファンタジーランドにあるアトラクションです。2020年9月にオープンしたアトラクションで、東京ディズニーランドのランドマークであるシンデレラ城に次ぐ高さとなる美女と野獣の城の中にあります。
2022年になって筆者もようやく(実際に乗るのを楽しみにしていたので音楽も動画でも聴いたり観たりしませんでした…)アトラクションに乗れたので、楽曲の作曲・編曲者情報や感想について書きます。
アトラクションのクオリティも高く楽しく決して「つまらない」というわけではなかったのですが、1点だけ非常に残念に感じた部分がありました。この記事の最後に感想とともに記載します。
Contents
アトラクション概要
- アトラクションオープン日:2022年9月28日
- 場所:東京ディズニーランド ファンタジーランド(美女と野獣のお城内)
- 所要時間:約8分
- タイプ:ライド
- 定員:1台10名
アトラクションの乗り物はプーさんのハニーハントなどと同様のトラックレスライドで、映画で使用される楽曲に合わせて、前後、左右、上下に滑らかに動きます。
リアルな音響、ディズニーランド開園時から導入されている技術「アニマトロニクス」がこのアトラクションに採用され、没入感を得ることができます。
そして、映画「美女と野獣」の音楽はアラン・メンケンとハワード・アシュマンによって制作されており、その音楽を含めた作品の魅力が大いに反映されることを期待したいアトラクションといえるでしょう。
使用楽曲(ライド時)
ライド時に使用されている楽曲や担当は以下の通りです。
曲名 | 楽曲担当(作曲・作詞・編曲) | |
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1 | ひとりぼっちの晩餐会(Be Our Guest) |
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2 | 愛の芽生え(Something There) | |
3 | 夜襲の歌(The Mob song) | |
4 | 奇蹟の変身(Beauty and the Beast Transformation) |
|
5 | 美女と野獣(Beauty and the Beast) |
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作詞・作曲は言わずとも知れたメンケンとアシュマンのコンビですね。
そしてこのアトラクションの編曲はマイケル・タヴェラ(Michael Tavera)が担当しています。
マイケル・タヴェラは数々のディズニー作品や海外のディズニーリゾートのショーにも携わっています。
ウォルト・ディズニー・ワールドのマジックキングダム・パークで使われている美女と野獣の楽曲にも参加しているようです。
マイケル・タヴェラの実績として紹介もされているので気になる方はご覧いただけます。
Walt Disney Imagineering – Michael Tavera
https://soundcloud.com/taveramusic/popular-tracks
ひとりぼっちの晩餐会(Be Our Guest)
アトラクション開始後、早速ダイニングルームで聞くことができるひとりぼっちの晩餐会。
この曲のカットはフィルハーマジックでも使われていた曲と同じ長さかと思われます。
編曲も似てる…?
食器やシャンパンなども一斉に踊り出し気分も高まります。
ルミエールが見送りのセリフを話しながら、次のエリアへの移動中に聞こえてくる「愛の芽生え」のイントロのモチーフが挿入されるアレンジはとても好きです。
愛の芽生え(Something There)
ベルと野獣がお互いの気持ちが芽生え始めていることを意識し始めた重要なシーンです。
歌に合わせて動く乗り物も愛の芽生えを一緒に感じさせてくれます。
夜襲の歌(The Mob song)
愛の芽生えのシーンが終わり、続いて夜襲の歌が始まります。
原曲の通り躍動感に溢れた楽曲でお城へ襲来するガストンたちを間近に感じ、アトラクションを通してリアルに体験できます。
奇蹟の変身(Beauty and the Beast Transformation)
クライマックスで野獣がベルの愛によって目覚めるシーンです。
変身の演出は本物の魔法のように野獣からアダム王子の姿へと変わります。
目の前でリアルな変身を遂げ、城にかけられた魔法もともに解かれる瞬間は非常に美しく洗練された素晴らしい演出です。多くのゲストの感動を誘うことでしょう。
美女と野獣(Beauty and the Beast)
アトラクションのフィナーレは映画と同じボールルームで、ベルと王子を中心としてワルツに合わせて踊ります。映画のシーンと同様、壮大な楽曲とともにアトラクションの物語をしめくくります。
3拍子に編曲された美女と野獣のテーマに合わせて動く乗り物で体験することによって映画の登場人物とともに一緒に踊っているような気持ちにさせてくれます。
使用楽曲(プレショー・スタンバイ列・降車後など)
プレショー・スタンバイ列・降車後も美女と野獣の音楽に溢れています。
CDには以下の形で収録されています。
- お城の中へ
- ベルと野獣の出会い
- 城内の廊下にて
- お城をあとに
「お城の中へ」「城内の廊下にて」はファンタジーランドのお城入り口周辺からスタンバイ列で聴けるBGMで、美女と野獣のテーマや夜襲の歌のアレンジなども使われています。
「ベルと野獣の出会い」と題された楽曲はメインホワイエのプレショーが行われている曲で、映画のオープニングに使用された楽曲をベースにアレンジされています。
プレショーではステンドグラスのアニメーション(プロジェクションマッピング?)やバルコニーから野獣やベルが出て臨場感に溢れている演出であると感じました。
伝統的なアニマトロニクスが最新技術によってよりリアルに再現されていて、初めて観た時は衝撃でした。
「お城をあとに」はアトラクションを乗り終えてからお城の外につながる道で聴ける曲で、映画の中のベルと野獣がボールルームで踊る名シーンで使用されたときの楽曲「美女と野獣」をベースにアレンジされた楽曲です。
アトラクションの技術や仕組み、イマジニアリングの想い
『美女と野獣 “魔法のものがたり”』は2020年9月にオープンしたアトラクションですが、今回のアトラクションに加え、エリア内ではレストラン、ショップも作られました。
その中でもやはりアトラクションが一番手の込んだものであるといわれています。
ディズニーランドオープン以来の伝統的な技術や経験が活かされたアトラクションで、『魅惑のチキルーム』でも採用されているアニマトロニクス、『プーさんのハニーハント』でも採用されているトラックレスライドやプロジェクションマッピングなど多くの技術がや仕組みがり入れられています。
ウォルト・ディズニー・イマジニアリングのエグゼクティブクリエイティブディレクターであるテッド・ロブレド(Ted Robledo)はこのアトラクションの特徴を「ショーの音楽に合わせて動き、「踊る」ことにあり、ゲストをかつてないほど愛する歌や物語の世界に導いてくれる」という様なことを語っています。
そしてイマジニアリング音楽担当のエグゼクティブクリエイティブディレクター:ジョン・デニス(John Dennis)が担当しており、「美女と野獣の映画の柱の1つは、ハワード・アシュマンとアラン・メンケンが書いた音楽と歌詞です。元の映画がリリースされてから約30年経った今でも、彼らが作成した音楽はストーリーテリングの重要な要素であり続けています」と語っています。
参考:「Tokyo Disneyland reopens, adds its largest expansion to date」
映画で使用された音楽も作品に欠かせない重要な要素であることを理解しながらプロジェクトに取りかかっているようです。
乗ってみた感想(個人的に残念に思った点あり)
2022年になってしまいましたが、私も実際に乗って体験してみました。
リアルなキャラクターや変身、空間全体の変化など現代的な技術を取り入れたアトラクションであり、多くの人々が愛する『美女と野獣』の音楽とともに過ごす時間は本当に素晴らしい体験でした。
しかし、個人的に1点だけ非常に残念に感じてしまったことがあります。
それは美女と野獣の名シーン、ボールルームでのダンスのシーンがなかったことです。
アトラクションでは「愛の芽生え」のシーンの最後に、既にボールルームのダンス後の衣装で夜の景色を眺めるベルと野獣の姿が写り、「夜襲の歌」へと移り変わります。
初めてのライドのとき正直そこで意表をつかれてしまいました笑。
あの名シーンすっとばすなんてなんでやねん!って思ってしまいました。
ただ、エンディングでフィナーレのワルツのシーンが必要とされることや、ダンスシーンが被ることなどの進行上の都合を考えるとやむを得ない気もしてきます。
アトラクション降車後の道ではボールルームでダンスをしたときの「美女と野獣」のアレンジが使われていることもその配慮なのかもしれません(勝手な解釈)。
そんな1点だけ残念に感じてしまった部分はあったものの、アトラクションの雰囲気やクオリティは非常に満足です。
美女と野獣のアトラクションは2022年のGWでは220分待ちであったり、ディズニー・プレミアアクセス(有料のファストパスみたいなもの)の対象であったりするので多くの方々にも愛されている作品・アトラクションであると感じています。
アトラクションに乗車する際はぜひ物語の音楽とともに名シーンを堪能したいですね。