CGアニメーション長編作品として公開され、当時のアニメーションの可能性を広く浸透させたピクサー映画『トイ・ストーリー』。
『トイ・ストーリー(TOY STORY)』はその後シリーズ化も続き、現在では『トイ・ストーリー4』の公開も予定されています。
ディズニーの作品でも代表的な作品として愛されています。
そんなディズニー・ピクサー作品『トイ・ストーリー』シリーズの作曲家は、アメリカのシンガーソングライター ランディー・ニューマン(Randy Newman)です。
Contents
代表作(ディズニー)
- 『トイ・ストーリー(TOY STORY)』シリーズ
- バグズ・ライフ(A Bug’s Life)
- モンスターズ・インク(Monsters, Inc.)
- カーズ(Cars)
- プリンセスと魔法のキス(The Princess and the Frog)
- モンスターズ・ユニバーシティ(Monsters University)
代表楽曲はトイ・ストーリーより「君はともだち(You’ve Got a Friend in Me)」、モンスターズインクより「君がいないと( If I Didn’t Have You)」プリンセスと魔法のキス「それがニューオリンズ(Down In New Orleans)」「夢まであとすこし(Almost There)」などです。
人物
ランディー・ニューマンはアメリカのシンガーソングライターです。1943年ロサンザルスに生まれます。
叔父はアルフレッド・ニューマン、エミール・ニューマン、ライオネル・ニューマンで、いずれも映画音楽の作曲家で知られています。
そんな音楽一家に生まれたニューマンは家族の影響も受けながら独自の音楽性を発揮し活動していきます。
カリフォルニア大学で音楽を専攻していた頃にもソングライターとして活動し始め、様々な音楽家に楽曲提供もしていきました。
また、1968年には自身のアルバム「ランディ・ニューマン」を出しています。
この様にニューマンはどちらかというとサウンドトラックを制作していたというよりは、ポピュラーミュージックを制作している音楽家として活動していたと思われます。
ピクサー初の長編CGアニメーション『トイ・ストーリー』の音楽
シンガーソングライターとして活動していたニューマンは1995年公開ピクサー初の長編アニメーション『トイ・ストーリー』の音楽に抜擢されました。
当時はディズニーが大ヒットした『リトル・マーメイド』『美女と野獣』『アラジン』の公開した後でありミュージカル路線での映画を期待されることもありましたが、監督:ジョン・ラセター(John Alan Lasseter)はその様な作品を作る気はなかったとのことです。
そのためか、ピクサー映画において作品の中でキャラクターが歌うシーンは出てきませんね。
また、ラセター監督は「トイ・ストーリー」の設定上ミュージカル路線ではその世界に馴染まないという考えも持っていました。
ニューマンの起用
『トイ・ストーリー』の音楽はミュージカル路線ではないことを決めていましたが、その場合どの様な音楽を映画に起用するか模索していたところ、とある映画がヒントになりました。
その映画からは「歌が映画の感情を表現しているものの、歌は登場人物が歌っているものではない」というシーンを参考にしました。
当時のディズニーはほとんど登場人物が歌うというシーンがあったため、その効果でピクサー作品の音楽というものを差別化できたのかもしれません。
そこでラセター監督はシンガーソングライターを起用することとなります。その起用したシンガーソングライターがランディー・ニューマンでした。
『トイ・ストーリー』でニューマンはアニメ映画初の音楽を手がけることとなります。
音楽性
シンガーソングライターとして活動していたニューマンがディズニー・ピクサーの音楽を手掛けた際は哀愁漂うメロディと表現が際立っていました。
「トイ・ストーリー」の劇中歌では「君はともだち」「すべてがストレンジ」などで、歌を背景として物語のシーンが描かれます。
「君はともだち」はカントリー調の楽曲で作品のテーマともなる「友情」を表現していました。今までのディズニー作品とは違うような、ポップな楽曲が特徴的です。
ニューマンの楽曲を聴く限りではカントリーやジャズといった音楽性が強く感じます。
サウンドトラックでも20世紀初頭に発達したディキシーランドジャズの楽器編成などで構成された曲なども確認できます。
使用されている楽器もストリングスからバンジョーなどもあり、特に「トイ・ストーリー」では以上のジャンルにおける楽曲をアコースティックサウンドで表現されていることも印象的です。
「トイ・ストーリー2」でもカントリー調の楽曲が際立っていました。劇中歌「ウッディーの(Woody’s Roundup)」も「ブルーグラス(Bluegrass music)」というジャンルで表現され、おもちゃではあるものの、”カーボウイ人形”であるウッディのテーマをより印象付けていました。
この様にニューマンは歌詞の入った、カントリー、ジャズといったジャンルのポップな楽曲を手掛けている印象を強く感じます。
自身が歌う「君はともだち」もまた哀愁漂うメロディが際立っていますね。
映画『プリンセスと魔法のキス』でのニューマン
ニューマンはピクサー作品における音楽家として活躍しましたが、ディズニーアニメーション映画でも音楽を担当した作品があります。
それは映画『プリンセスと魔法のキス』です。
この作品においてもニューマンの豊かな音楽性を確認できると感じました。
ピクサー作品にはなかったミュージカル音楽としてのニューマンの音楽を聴くことができます。
舞台はジャズ発祥の地ニューオリンズとしており、まさにニューマンの音楽性を際立たせる作品ともなっている気がします。劇中歌「それがニューオーリンズ」と「夢まであとすこし」はアカデミー賞も受賞しており、ニューマンの実力が証明されています。
トーマス・ニューマンとの関係
冒頭でも述べましたがランディ・ニューマンは音楽一家として生まれました。
ランディ・ニューマンはピクサー作品を多く担当しました。
ピクサー作品では別の作曲家が担当している作品もありますがその中でも『ファインディング・ニモ(Finding Nemo)』ではランディ・ニューマンの従兄弟であるトーマス・ニューマン(Thomas Montgomery Newman)が担当しています。
しかし二人は異なった音楽性を持ち合わせており、それぞれの作品で特長を発揮していると思います。
そんな違いを感じながら作品を観てみるのも良いかもしれません。