『王様の剣』『ジャングル・ブック』『おしゃれキャット』『くまのプーさん』『メリー・ポピンズ』など歴史的なディズニー映画の音楽を担当した作曲家はディズニーを代表する作曲家でもある兄のロバート・シャーマン(Robert B. Sherman)と弟のリチャード・シャーマン(Richard M. Sherman)の二人です。
シャーマン兄弟は1960年代で約100曲の歌を世に送り出したソングライターで、ウォルト・ディズニーが初めてスタジオのスタッフとして雇い入れたチームだそうです。
二人の活躍はディズニー映画の成功に大きく貢献してきた作曲家といえるでしょう。
代表作品(ディズニー)
映画音楽
- 『メリー・ポピンズ(Mary Poppins)』
- 『ジャングル・ブック(The Jungle Book)』
- 『おしゃれキャット(The Aristocats)』
- 『くまのプーさん 完全保存版(The Many Adventures of Winnie the Pooh)』
- 『ベッドかざりとほうき(Bedknobs and Broomsticks)』
- 『最高にしあわせ(The Happiest Millionaire)』
パーク音楽
- 『小さな世界(It’s a small world)』
- 『魅惑のチキルーム(The Enchanted Tiki Room)』
- 『ミート・ザ・ワールド(We Meet the World with Love)』
映画の他にもパーク音楽も担当しています。長年ディズニーと関わってきたシャーマン兄弟は絶大な信頼を得ていました。
代表楽曲
- 「お砂糖ひとさじで(A Spoonful of Sugar)」
- 「スーパーカリフラジリスティックエクスピアリドーシャス(Supercalifragilisticexpialidocious)」
- 「2ペンスを鳩に(Feed the Birds)」
- 「チム・チム・チェリー(Chim Chim Cher-ee)」
- 「タコをあげよう(Let’s Go Fly a Kite)」
- 「君のようになりたい (I Wan’na Be Like You)」
- 「くまのプーさん(Winnie-the-Pooh)」
などなど非常に大量の楽曲をディズニー作品の音楽として世に送り出しています。
『メリー・ポピンズ』の「2ペンスを鳩に」はウォルト・ディズニーがかなり気に入った楽曲だったようです。
人物
兄のロバート・シャーマンは1925年、弟のリチャード・シャーマンは1928年にニューヨークで生まれます。
父親はティン・パン・アレー時代の作詞・作曲家、アル・シャーマンです。
兄のロバートは小説家を目指していましたが、17歳で軍隊に志願し戦地へ向かいます。ドイツの戦場で膝に銃弾を受け、義足で生活していました。性格は控えめだったそうです。兄のロバートは2012年3月5日 86歳で亡くなりました。
弟のリチャードは父の薦めで大学の音楽科へ進学し、交響曲の指揮者を目指していました。性格は明るく情熱的でした。
父の助言によって二人は協力して曲作りを始めることになります。(主にロバートが作詞、リチャードが作曲を担当)1958年にロバートはハリウッドで音楽出版社を設立しています。
彼らは音楽家を目指すこととなり、自分たちの音楽をプロモートするため、レコードに録音した歌をラジオ局などに送っていました。送りつけたレコードのその数は約3000枚だったそうです。
二人の活動について解説したドキュメンタリーフィルム『ディズニー映画の名曲を作った兄弟:シャーマン・ブラザーズ』ではシャーマン兄弟二人の活動について知ることができます。
ウォルト・ディズニーとシャーマン兄弟の出会い
シャーマン兄弟が送り続けた3000枚ほどのレコードの一つがディズニーのスタッフに注目されることとなります。
当時のディズニーのレコード部門はアネット・ファニセロ(Annette Funicello)を売り出し中で、彼女に合う楽曲を探していた最中でした。
アネット・ファニセロの歌をシャーマン兄弟が作ることとなり「トール・ポール」は最初のヒット作となりました。
1958年から1963年の間にアネット・ファニセロに提供した楽曲は38曲になりその楽曲の数々がウォルト・ディズニーの目にもとまりました。
そして、ウォルト・ディズニーはシャーマン兄弟に『メリー・ポピンズ』の音楽を担当してもらうよう依頼することとなるのです。
音楽性
シャーマン兄弟はフランク・チャーチルやリー・ハーリーンなど、スコアと歌の両方担当している作曲家ではなく、歌だけを専門として長い間ディズニー音楽に携わっていました。
その音楽はシンプルな歌から口ずさみやすい歌まであり多くの方々に愛されてきました。
実際にシャーマン兄弟は「子どもたちに新しい言葉を覚えてもらいたかった」という思いがこめられた曲があります。
『メリー・ポピンズ』の「スーパーカリフラジリスティックエクスピアリドーシャス」なども思わず口ずさみたくなるような言葉の歌になっています。
音楽性も幅広くジャズやカントリーなどを基調にしたポピュラー音楽といった印象です。
シャーマン兄弟の楽曲はは当時から幅広い世代の多くの人々に馴染みやすい音楽で、現在でも愛され続けることとなります。
メリー・ポピンズでの二人の活躍
最初に音楽を担当した映画「メリー・ポピンズ」は特にシャーマン兄弟の音楽が成功に大きく貢献されていたと思います。
どの曲も印象的な音楽で、楽曲を聴くと映画のシーンが頭に思い浮かんできます。
そんな制作過程でも様々なエピソードがあり、上述したドキュメンタリーの他にも映画『ウォルト・ディズニーの約束』でもシャーマン兄弟が登場しています。
ディズニーの時代を築き上げた音楽家について知りたい方は観てみると良いかもしれません。