アニメーション映画『ノートルダムの鐘(The Bells Of Notre Dame)』は1996年6月21日に公開され、日本では1996年8月24日に公開されました。
『ノートルダムの鐘』はシリアスで暗いシーンもありディズニー作品としては珍しい作品ですが、作品の完成度は高くストーリーや音楽は高い評価を得ています。
主な音楽担当は作曲がアラン・メンケン、作詞がスティーヴン・シュワルツのコンビです。
今回は『ノートルダムの鐘』の音楽について紹介します。
Contents
音楽データ
代表曲
- 「ノートルダムの鐘(The Bells of Notre Dame)」
- 「僕の願い(Out There)」
- 「トプシー・ターヴィー(Topsy Turvy)」
- 「ゴッド・ヘルプ(God Help The Outcasts)」
- 「天使が僕に/罪の炎(Heaven’s Light/Hellfire)」
- 「ガイ・ライク・ユー(A Guy Like You)」
- 「奇跡の法廷(The Court of Miracles)」
- 「サムデイ(Someday)」
作品の音楽は劇的であり、躍動感あふれるオペラサウンドです。それぞれのシーンで使用される楽曲は物語にとって重要な役割を持ち、印象的な音楽です。
楽曲の詳細は次の節で紹介します。
主な音楽担当
- 作曲:アラン・メンケン(Alan Menken)
- 作詞:スティーヴン・シュワルツ(Stephen Schwartz)
作曲はディズニーレジェンド、『リトル・マーメイド』『美女と野獣』『アラジン』など数々のディズニー音楽を担当したアラン・メンケンで、スティーヴン・シュワルツとは『ポカホンタス』や『魔法にかけられて』でも音楽を担当したコンビです。
『ノートルダムの鐘』はオペラであり、迫力満点のサウンドです。アラン・メンケンは本作品のオープニングについて「自分が書いたなかで最高のオープニング」であることを述べています。
オペラやミュージカル的な要素を持つ『ノートルダムの鐘』の音楽
ノートルダムの鐘
オープニング曲「ノートルダムの鐘」はサウンドトラックでは6分24秒という長さで収録されています。ミュージカル形式で進行するオープニングはスティーヴン・シュワルツの案を採用したそうです。
歌は物語あらすじを語りシリアスな場面も存在します。
この楽曲を録音した際、150人ものコーラスが参加しているそうです。冒頭から映画の壮大さを感じます。
僕の願い
「僕の願い」は本作の主人公カジモドが歌う楽曲です。前半はディズニーヴィランズ:フロローと旋律的に歌います。オーケストラをバックに歌う楽曲は本格的なオペラの音楽であり、歌唱力も素晴らしいものです。
トプシー・ターヴィ
道化の祭りで歌われる楽曲です。
逆さまという様子をテーマとしている楽曲です。こちらもオーケストラの迫力満点のサウンドを聴くことができます。
テンポの動きなど壮大なオーケストラや楽器で表現することで活気のあふれる音楽となっています。
ゴッドヘルプ
エスメラルダが神に祈りを捧げる歌です。
教会で歌う響きも表現された音響的な演出にも凝っています。
天使が僕に/罪の炎
エスメラルダに出会ったカジモドはその思いを歌い、フロローは自分のエスメラルダに対する気持ちの葛藤を歌います。
オペラ作品でもあるような人間のリアルな感情が表現されているようです。
ガイ・ライク・ユー
石像たちがカジモド励ますときに使われる楽曲です。他に使用されている楽曲と比較すると明るく陽気な楽曲です。ミュージカルのコミカルな要素を感じる楽曲ですが、伴奏はストリングスやアコーディオンなどでロマンチックな雰囲気で演奏されていることや壮大なオーケストラでも演奏され非常に美しい楽曲です。
奇跡の法廷
ジプシーたちによるコーラスです。
弦楽器や木管楽器の音が散りばめられたサウンドが特徴的で部分的に迫力が増したりメリハリが効いています。
サムデイ
本作のエンディングテーマとなっています。
当時のディズニー作品の主流であった挿入歌のポップバージョンといった使い方はせずに、エンディングのみでの使用でした。
実は元々はエスメラルダが歌うシーンの楽曲として進められてましたが採用に至りませんでした。
この曲の一部は本編のなかスコアに盛り込まれています。
アラン・メンケンはこの曲を好んでいたためミュージカル版では使用されています。
大迫力で劇的なサウンド!作曲家の力。
アラン・メンケンとスティーヴン・シュワルツは映画制作チームの一員として、この作品の舞台となっている直接パリへ取材に行っています。
中世のノートルダム寺院とその街で暮らす人々を題材としている作品であるため、現地の取材によってそのインスピレーションを得ることができていると感じます。
コーラスが印象的な音楽
『ノートルダムの鐘』での音楽で印象的な要素の一つとしてコーラスが印象的です。
声楽的な要素はオーケストラだけでは表現しきれない壮大な響きが得られるように感じます。聖歌隊によるコーラスは作品の時代や舞台の中世ヨーロッパや大聖堂の雰囲気を感じるために非常に効果的な要素となっています。
音楽によって時代の音楽も
コーラスはグレゴリオ聖歌といった雰囲気を持ち、宗教・教会的な要素を感じます。オーケストレーションにおいても古典的な楽器を使用することで時代の雰囲気を醸し出しています。
音楽家の実力を読み取る。
以上のように『ノートルダムの鐘』は時代背景や舞台となる地域の特徴をコーラスやオーケストラで反映させた音楽家たちによる実力が作品となっています。
ディズニー作品において時代背景や現地をできるだけ忠実に取り入れたリアルな作品となっていて、多くの世代で評価を得られる作品であると感じました。
音楽はその世界観を意識したものが強く現れ、スコアにおいてもそれぞれ意味を持つ挿入歌のメロディが効果的に盛り込まれている部分もあります。
オーケストラやラテン語による聖歌隊によるコーラスは古典的な音楽でありながら現代においても人々に感動を与えます。
原作や現地の文化を反映した音楽はスタッフによる敬意も感じ、シリアスな場面も含めたリアルな演出はディズニーの実力を存分に発揮しているといえるでしょう。