ピクサーの映画作品『ファインディング・ニモ(Finding Nemo)』は 2003年5月30日にアメリカで公開され、日本では2003年12月6日に公開されました。
ピクサーのフルCG長編アニメーションで第5作目となる今作品はオーストラリアの海を舞台となっています。カクレクマノミのマーリンとナンヨウハギのドリーはともに人間にさらわれてしまったニモを探す旅に出ます。
壮大な海が美しいCGで表現され、リアルな海の世界を感じることができる作品です。
この作品はオーケストラサウンドを中心として海の世界の美しさを引き立てるような音楽が使用されています。
ピクサー映画の音楽といえばこれまでランディ・ニューマンが担当していますが、『ファインディング・ニモ』の音楽はランディ・ニューマンの従兄弟にあたるトーマス・ニューマンが担当しています。
音楽データ
主な音楽担当
- トーマス・ニューマン(Thomas Newman)
これまでのピクサー作品はランディ・ニューマンが楽曲のほとんどを担当していましたが、ピクサーCG長編作品第5作品目となる『ファインディング・ニモ』で別の音楽家を起用することとなります。
そこで選ばれたのがトーマス・ニューマンです。
トーマス・ニューマンは多くの映画音楽を手がける作曲家で、ランディ・ニューマンの従兄弟にあたります。
しかし、音楽性は大きく異なっています。トーマス・ニューマンは多くの映画作品を担当し悲劇的な感情、憂鬱さなどを象徴したサウンドが印象的です。
『ファインディング・ニモ』の監督を担当したアンドリュー・スタントンがトーマス・ニューマンに感じていた音楽の印象は「ほろ苦い」だったそうです。
『ファインディング・ニモ』は美しさや悲しさといった要素を持ちあわせており、そのような要素を表現できる音楽家を必要としていたことからトーマス・ニューマンへの起用へ至りました。
ちなみにトーマス・ニューマンは映画『ウォルト・ディズニーの約束』でも音楽を担当しています。
『ファインディング・ニモ』と音楽
『ファインディング・ニモ』は本編の中で使用される歌はありません。過去のピクサー作品『トイ・ストーリー』などと比較すると、音楽は違った印象を持っています。
スコアにおいても明確なメロディを持っているような楽曲がないということも特徴的です。
作中の背景に流れる音楽は大きく主張しているものではありませんが、自然とその場の雰囲気を象徴しているようにも感じます。
キャラクターの感情に合わせるというよりは、そのシーンの場所や状況に合わせた音楽であるように感じます。
幻想的な音楽と豊かなオーケストラサウンド
作品中においては大きく主張する音楽ではないとしても、音楽だけを聴いてみると非常に美しく、豊かなサウンドを感じられます。
聴いていて心地よく、目の前で海の世界が広がるような音楽でその美しさの背景に悲劇的であったり、ほろ苦さも感じとられます。
多くの映画音楽を担当しているトーマス・ニューマンは映画を観る人たちへ様々な感情を抱かせたりその作品におけるテーマを強調するような力があるように感じます。