アニメーション映画『ライオン・キング(The Lion King)』は1994年6月24日に公開され、日本では1994年7月23日に公開されました。
この映画は公開後の反響が非常に大きく、当時はディズニーにおける長編アニメで最大の興行収益を上げました。
現在に至っても『アナと雪の女王』『トイ・ストーリー3』に次アニメ映画史上3番目の作品となっています。
また、ビデオの売り上げも世界一となっており、サウンドトラックの売り上げは1500万枚でアニメ作品ののなかで世界一を記録しており、ディズニー作品において非常に大きな反響があった作品といえるでしょう。
アニメーション映画『ライオン・キング』の挿入歌を担当したのはエルトン・ジョンで、ロックミュージシャンを起用したことも話題となりました。
そして作詞は『アラジン』などでアラン・メンケンと仕事をしたティム・ライスです。
今回はアニメーション映画『ライオン・キング』の音楽について紹介します。
Contents
音楽データ
主な音楽担当
- 作曲(主に挿入歌):エルトン・ジョン(Elton John)
- 作詞:ティム・ライス(Tim Rice)
- 作曲(スコア):ハンス・ジマー(Hans Zimmer)
- 作曲:レボ・M(LEBO M)
まずは挿入歌を担当しているエルトン・ジョンについてです。
エルトン・ジョンはロック・ミュージシャンであり、シンガーソングライターとして活躍していたアーティストです。
そのエルトン・ジョンを映画で使用する楽曲の作曲家として起用しようと考えたのが『アラジン』でアラン・メンケンとコンビを組み数々のディズニー音楽の作詞を担当しているティム・ライスでした。
エルトン・ジョンを選んだ理由は20世紀のなかで一流のメロディメーカーであったからであるということをティム・ライスは述べています。
ティム・ライスはエルトン・ジョンは当時人気も高く忙しい存在、そしてギャラも高いということで実現は難しいと考えていました。
しかし、ディズニーがエルトン・ジョンの起用を実現したため、それにはかなり驚いたそうです。
そしてスコア全体を担当したのは作曲家のハンス・ジマーです。ハンス・ジマーとともに音楽に携わったのが南アフリカ出身のレボ・Mです。レボ・Mはアフリカ的な要素を楽曲に取り入れ、より作品の世界観を表現しました。
ハンス・ジマーとレボ・Mは過去に映画『パワー・オブ・ワン』でも一緒に仕事をしています。
代表曲
- 「サークル・オブ・ライフ(Circle Of Life)」
- 「王様になるのが待ちきれない(I Just Can’t Wait To Be King)」
- 「準備をしておけ(Be Prepared)」
- 「ハクナ・マタタ(Hakuna Matata)」
- 「愛を感じて(Can You Feel the Love Tonight)」
『ライオン・キング』の音楽はアカデミー賞 作曲賞、主題歌賞も受賞し、世界中で愛された楽曲といえるでしょう。
挿入歌もキャラクターの個性やシーン、映画の世界観を表現した楽曲であったり、スコアについても動物たちが生きる自然界を見事に表現しており、多くの共感得ることができた作品と考えられます。
知っておきたいディズニーソング!『ライオン・キング』の曲
サークル・オブ・ライフ
この曲はオープニングとエンディングに使用される楽曲となっています。
印象的な冒頭(「あーすぺんにゃー」と聞こえるような、、)のズールー語のコーラスはレボ・Mが担当しております。レボ・Mは南アフリカのスウェットで生まれ、ズールー族からジャズ、レゲエなどの音楽を吸収しており、本場の音楽を表現する彼の実力が表れています。
楽曲を使用したオープニングは約4分あり、このシーンでのセリフは一切ありませんがこの作品の世界観が映像とともにビートに乗せて表現され、観客を引き込みます。
王様になるのが待ちきれない
子供のシンバが歌う楽曲で、非常にかわいらしくポップな楽曲です。
早く王様ライオンになることを夢見るシンバの様子を描いたシーンで、ポップな楽曲の中にはパンパイプやエレキギター、エレキベースや打楽器のビートはアフリカの雰囲気を感じさせてくれます。
ちなみにこの楽曲の編曲者はマーク・マンシーナ(Mark Mancina)で、『ターザン(Tarzan)』や『モアナと伝説の海(Moana)』の音楽も担当します。
ハクナ・マタタ
「ハクナ・マタタ」はシンバが物語の中で出会う仲間、ミーアキャットのティモンとイボイノシシのプンバァが歌う楽曲で、「悩まずに生きること」についてシンバに聴かせる楽曲となっています。
このシーンは時間の流れを凝縮し、シンバの成長していく姿と時間の経過が描かれています。楽曲が終わる頃には物語が後半へ突入したことがわかります。
このような楽曲を使いながら登場キャラクターの成長を描くシーンは今後のディズニー作品でも使われていくこととなります。
愛を感じて
成人となったシンバと幼馴染のナラとのラブ・バラードとなっています。
自然界にロマンティックな雰囲気が広がる美しい楽曲となっています。
このように完成形は美しく表現されましたが、この楽曲が完成するまでティム・ライスは歌詞を15回程度書きなおしたとも述べており、数々の試行錯誤を経ていたことが考えられます。
この曲の冒頭と最後はティモンとプンバァが歌っており、少しコミカルな要素も含んでいます。ラブ・バラード一色にしてしまうと子供がそのシーンで飽きてしまうと考えられることから制作陣はコミカルな要素を取り入れました。
エルトン・ジョンはこの曲に対してディズニーといえばラブ・ロマンス溢れる作品だから今回もそれを想定してこの「愛を感じて」を書いたと述べています。
そのため、「イノシシがラブ・バラードを歌う」ということにかなり驚いたそうです。
音楽が表現する『ライオン・キング』の世界
『ライオン・キング』が公開される以前のディズニー作品『アラジン』や『美女と野獣』『リトル・マーメイド』などは、ミュージカル作品でした。
『ライオン・キング』はそのようなミュージカル的な要素は上述作品と比較するとかなり抑えられており、ディズニー作品としてまた違った方向性を狙っていた作品であると考えられます。
ハンス・ジマーによる音楽及びスコアは世界観を象徴し、全体を通して一貫性のある音楽であるとことが感じ取れます。
また、自然界を象徴するようなビートや壮大なオーケストレーションのほか、映画の中で物語における重要な要素に対してモチーフを与えていたことがわかります。(モチーフとは最小単位に特徴を持った音符や休符のこと)
シンバや王国、ムファサといった物語の鍵となる要素に自然に焦点が当てられています。
サウンドトラックの売り上げも、大きな功績を残している『ライオン・キング』の楽曲は聴きどころ満載の作品です。