ミッキーが初めて出た記念すべきディズニー映画『蒸気船ウィリー(Steamboat Willie)』は1928年11月18日にアメリカで公開されました。
音と映像がシンクロした世界で初のトーキー・アニメともなっており、映画の歴史においても重要な作品となっています。
近年のディズニー映画の冒頭、ミッキーが口笛を吹いて蒸気船を運転するアニメーションはこの作品が元となっています。
今回は『蒸気船ウィリー』の音楽について紹介します。
Contents
音楽データ
使用曲
- 「Steamboat Bill」
- 「藁の中の七面鳥(Turkey in the straw):オクラホマ・ミクサー」
初のトーキー・アニメでは既存の楽曲が使用されています。
ミッキーが口笛で奏でる曲「Steamboat Bill」
冒頭でミッキーが口笛で奏でる曲は「Steamboat Bill」という曲です。
『蒸気船ウィリー』は映画『キートンの蒸気船(Steamboat Bill, Jr.)』を元にした作品で、「Steamboat Bill」はこの楽曲で使用されていたものです。
「Steamboat Bill」の原曲はアーサー・コリンズ(Arthur Collins)という歌手が歌い、作曲も担当しているようです。
「藁の中の七面鳥:オクラホマ・ミクサー」
「藁の中の七面鳥」は途中で山羊がミニーの持っていた楽器と楽譜を食べたせいで、オルゴールに変身したことにより使われる曲です。
この音楽を背景として、ミッキーは様々な「物」を楽器として奏でます。このシーンは当時からすると非常にユニークなものだったことでしょう。
「藁の中の七面鳥」は「オクラホマ・ミクサー」ともいわれています。
音と映像がシンクロする初のトーキー・アニメ
現代においても映画における音楽の重要性は広く認知されていますが、ウォルト・ディズニーはこの初のトーキー・アニメから音楽の重要性を意識していました。
後に監督と音楽家は一つの部屋で作品の構想を練っていくこととなり、ディズニーがいかに音楽を重要視してきたかがわかります。
ミッキーシリーズの第1弾となる『蒸気船ウィリー』音楽を占める割合が多く、セリフはほとんどありません。それでも音がついたことによって、キャラクターの感情や物の動きが非常に伝わりやすくなります。
ウォルト・ディズニーはこの1作目から音楽の可能性を見出だしていたように感じます。
当時の音楽家事情
とはいったものの、『蒸気船ウィリー』公開当時はスタッフに音楽を専門としている人物がいませんでした。
『蒸気船ウィリー』の音楽を主導したのはアニメーターのウィルフレッド・ジャクソンという人物でスタッフのなかで楽譜を読めた数少ない存在であったそうです。
その音楽に関する知識は決して豊富なものではありませんでしたが、作品の音楽にも大きく貢献しました。

それに加えてウォルト・ディズニーは伝記などにおいて、音や音楽の効果が観客へアピールする方法においては直感的に鋭い感覚を持っていたと記されているようで、ウォルト・自身が持っていた感覚が成功の背景としても考えられます。
時が経ち、映画の制作過程はどんどん変化していきますが、ディズニーはプロダクションの初期段階から音楽家を含めて制作を進行させる方法をとります。
この様にディズニー初期作品から音楽を重視する意思が現代にも反映された結果、豊かな映画作品が世の中に浸透していくこととなったのです。