ディズニーアニメーション映画『ダンボ(Dumbo)』は1941年に公開されました。
映画タイトルにもなっている「ダンボ」はみなさんもご存知の通り物語の主人公であるゾウの名前です。
ダンボは耳が大きかったことで周りの像たちにも馬鹿にされ、孤立します。
母親とも引き離され、悲しみを抱え生きていきます。
この映画では「サーカス団」の暮らしの中で物語が進んでいます。
音楽は鼓笛隊による演奏であったり、ダンボを救うねずみのティモシーも鼓笛隊の衣装を着ておりサーカスの世界で奏でられるような音色を感じます。
音楽データ
音楽担当
- オリヴァー・ウォーレス(Oliver Wallace)
- フランク・チャーチル(Frank Churchill)
オリバー・ウォレスは『ダンボ』の他、『シンデレラ』『ふしぎの国のアリス』『ピーターパン』『わんわん物語』なども担当します。
フランク・チャーチルはディズニーの短編映画『3匹の子ぶた』や「ミッキーの短編映画シリーズ」からディズニー音楽を担当していたり『白雪姫』や『バンビ』などの長編映画も担当します。
代表曲
- 私の赤ちゃん(Baby Mine)
- ケイシー・ジュニア(Casey Junior)
- もし象が空を飛べたら(When I See an Elephant Fly)
「私の赤ちゃん」はアカデミー賞にノミネートされています。
『ダンボ』と音楽
ダンボは映画のテーマともなっている「サーカス」を象徴する音楽が使われています。
「テント張りの歌(Roustabouts)」はそのタイトルの通り、テントを張る力仕事をテンポよく表現し、力仕事をするというイメージから男性による合唱で構成された楽曲です。
サーカスやパレードのシーンでは金管楽器・打楽器が際立つ鼓笛隊・吹奏楽による演奏やストリートオルガン(手回しオルガン)やカリオペ(蒸気で鳴らすオルガン)なども使われており、豪華で軽快な音楽で表現されています。
この映画を代表する曲、「ケイシー・ジュニア」はサーカス列車の名前からきています。
列車のテーマともなっている曲で、サーカスの雰囲気を愉快に表現しているように感じます。
また、列車が坂道を登るときや到着するときもそれに合わせてテーマを維持しつつ、音楽が表現されていきます。短いシーンですがこのユーモア溢れる表現が多くの人々を魅了するシーンの一つであると感じます。
酔っ払いダンボが目の当たりにする「ピンクのゾウ」の行進
私が特におすすめしたいシーンはダンボが誤って酒の入った水を飲んでしまい、酔っ払うことで見てしまう「ピンクの象」の夢のシーンです。
楽曲は「ピンク・エレファンツ・オン・パレード(Pink Elephants on Parade)」。
このシーンは不思議表現ですが、楽器の演奏とアニメーションが連動しており、テンポに合わせて管楽器を吹く姿勢を表現したり、踊ったり、動いたりします。
芸術的な表現でアニメーション映画を制作し、音楽とも連動させることでディズニーの創造性が発揮されている様に感じます。
ハッピーエンドとともに
ダンボは最終的には「空を飛ぶ」ことをヒントにしたことでサーカスで大成功します。
最後は列車に乗り次の会場まで向かうシーンとなりますが、サーカスでの成功からエンデイングまで3分程度で表現されております。
音楽はシーンとともに緊張感から解き放たれ、愉快な音楽に切り替わります。
ラストのファンファーレもテンポの良い音楽で「もしも象が空を飛べたなら」で締めくくります。
ラストのシーンは短いものですが、音楽でダンボの成功からハッピーエンドまでを上手く表現しております。
アニメーション映画『ダンボ』はシーンごとで切り替わるテンポの良い映画であると感じます。
2019年に入り実写版『ダンボ』の公開も迫ってきてますので、アニメーションと実写版の雰囲気や表現の違いを探ってみるのも良いかもしれませんね。